RISE初参戦で王者に惜敗 一航(新興ムエタイ)
「“全然足らないな”っていう思いが強い
武器を強化して倒せる選手になります」
「RISE 146」(2月23日、東京・後楽園ホール)でRISEに初参戦した一航(新興ムエタイ)はRISEスーパーフライ級(53㎏)王者の大﨑一貴(OISHI)と対戦し、右ミドルを効かせるも0-2の判定負け。しかし10日後にコンタクトすると、すでに練習を再開し前向きな声を響かせた。「すごく勉強になりました」――19歳の一航にとって、今回が新たな覚醒のきっかけとなるかもしれない。
――タイマー音が聞こえてジムにいらっしゃるようですが、練習はいつから再開したのですか?
一航 ちょうど昨日(3月4日)から再開しました。カーフキックをだいぶもらって、それが結構響いてまだちょっと足が痛いです。(カーフは)効くのがメチャメチャ早いんですよね。ビックリしました。数発もらっただけで“痛い”って思い始めて、そこからさらにもらってヤバかったです。
――ですが一航選手も右ミドルをよく当てていました。
一航 ムエタイの試合だと距離が遠いんですけど、キックボクシングだと距離がちょっと近いので、蹴る時に踏み込まないでその場で蹴るとちょうどスネが当たるぐらいの距離ですごい蹴りやすかったです。しかもスネのちょうどいい場所に当たってくれていたので。
――たしかに大﨑選手も一航選手の蹴りを重いと話していましたし、左わき腹が真っ赤になっていました。RISEスーパーフライ級王者と対戦していかがでしたか?
一航 目の前に立った時のプレッシャーっていうかオーラがやっぱりトップ選手は違うんだなって思いました。攻撃に“53㎏でこんなにパワーを出せるんだ”っていう重たさがあって、すごく勉強になりました。すごくいい経験だったと思います。パワーには本当にビックリしたし、あと回転がすごい速くて。いま自分も練習してるんですけど、やっぱり重たく速くっていうのが難しいんです。だからスゴいっていうのもあるんですけど、どうやってるのかな? みたいに思います。
――大﨑選手はその重さと速さを両立させていると。
一航 映像も見たんですけど、自分のパンチがメッチャ弱いなと思って。なんかただ打ってるだけっていうか、“これは全然ダメだ”って思いました。結構強く打っていたつもりだったんですけど、映像を見ると全然ですよね。できてないところばっかりで。違うルールだったので変な意識があって、コンビネーションをメインにしちゃったんです。そうするとパワーが全然出なくて。
――RISEルールで今回が初の試合でいきなり王者との対戦、やはり難しさがあったのではないでしょうか。
一航 コンビネーションでパンチにヒザを交ぜた時、パンチの後で首相撲に行くのがクセになっているので、そこがちょっと難しかったです。あそこを突き放して繋げないとなって思っています。
――ですが、そういう中でもジャッジ1人がドローをつける接戦でした。手応えを感じた部分もあったのではないですか?
一航 今回は結果も大事だったんですけど結構内容にこだわっていて、試合中はすごい手応えがあったんですけど、映像を見てみたら全然ダメだなって。試合が終わった後はドローでもいいかなって思ったんですけど、映像を見たら“こりゃ負けだよな”って納得しました。全然パンチの迫力とか手数、前に出て来るのが違うし、やっぱり自分が下がっちゃうことが多かったので。そういうところでこれは負けたなって思いました。
――ですが、そういった感想でありながら声は明るい響きです。
一航 自分に足りないものをいろいろ考えて、兄もそうなんですけど技術はあってもやっぱり“倒せる人にならなきゃな”っていうのを話しています。なので、そういうパンチの打ち方だったりを最初からやり直して、効かせた後で締める練習をやならきゃなって思っています。
――拓真選手を取材した時も、やはりそうしたことを話していました。
一航 やっぱり見ていて、倒せないとつまらないですよね。パンフレットとかを見ても、みんな戦績を積んでる人はある程度KOしてるじゃないですか。自分たち兄弟も、例えば15勝とかしてても2KOとか3KOとか少ないのがちょっと恥ずかしいっていうか。武器がないような感じがするので、武器の強化をしないとなって。
――そこは兄弟二人で共通の課題なのですね。今後RISEでは53kgでトーナメントを開催する話も上がっていますが、そちらについてはどうですか?
一航 強い選手が集まると思うのですごい楽しみなんですけど、今回53kgでやってすごい体重がシンドくて(苦笑)。いつも53.5㎏でちょっとだけ余裕があるので、500gぐらい平気かなと思ったんですけど(苦笑)。なので、出たいんですけどちょっと迷ってます。体重を無理してオーバーしちゃったらダメじゃないですか。今回は本当にキツくて。53.5も前回落とした感じだと、もうそろそろ階級を上げてもいいのかなっていう感じだったので。
――それはなかなか悩ましいですね。
一航(石井)一成選手とかすごい選手も決まっているので本当は出たいんですけど、なので体重次第になるかなと思います。
――次戦はいつごろ見られそうですか?
一航 6月ごろあるかと思います。それまでちょっと期間もあくので、筋トレのジムに通い始めました。やっぱりフィジカルが違うなと思ったので、体力・フィジカルの強化ですね。あとは倒せるもの、武器を強化していく予定です。やっぱりパワー負けがスゴかったので。もうガード越しでも吹っ飛ぶようなパンチ力で、そこがスゴかったです。
――では、今回の敗戦は自分を見直し新たなことに取り組むきっかけになったと。
一航 はい、ダメなところがすごく見えたのでいい勉強になりました。悔しいですけど、でも試合をしていてすごく楽しかったです。試合前とか全然緊張もなくて。なんかすごく楽しみがありました。
――あんな強豪が相手だったのに緊張がなかったのですか?
一航 もう失うものがないっていうかその精神で、思いっきりぶつかっていくだけなので。あと自分が試せるので、それがすごい楽しみでした。強い相手だと、いま自分がどれぐらいできるか自分のレベルが分かるじゃないですか。
――なるほど、思い切りぶつかれて、自分がどれぐらいのレベルにあるか分かるのは楽しいことなのですね。
一航 組まれた時は怖かったです(苦笑)。でも、段々楽しみと“勝てるぞ”っていうのが見えてきたので。勝つつもりで、すごく自信がありました。
――今後も自分がワクワクするような強い相手とやっていけたらどんどん成長していけそうですね。
一航 やっぱりそういう刺激があった方が、頑張らなきゃっていう思いが出ます。
――これを機にさらに覚醒してKO率も上がっていくのを期待しています。
一航 いつもだったら試合が終わったら練習しなくなっちゃうんですけど、今は練習したいです。“全然足らないな”っていう思いが強くて、もう楽しくて仕方なくなってます。メッチャいい勉強でした。
◇選手プロフィール
一航(NJKF/新興ムエタイジム)-Ikko-
2001.7.30生/神奈川県厚木市出身/19歳/168cm/オーソドックス/パンチ /16戦13勝2敗1分(3KO)
▪️ WBCムエタイ日本統一バンタム級王者
▪️ 前NJKFバンタム級王者
▪️ 元WMCバンタム級王者
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