2017年11月17日 『NJKF 2017 west 4th』試合結果総評!

キックボクシング ムエタイ ニュージャパンキックボクシング連盟 NJKF。2017年11月17日のニュースです。

2017年11月17日ニュース

『NJKF 2017 west 4th』試合結果総評!

11月12日(日)、大阪・東成区民センターでNJKF・誠至会主催興行NJKF 2017 west 4thが開催された。

 

今興行のメインはNJKFバンタム級王者・玖村修平とNKB同級王者・髙橋亮の王者対決。かつてNJKFはNKB立ち上げの中心を担ったが方向性の違いから離脱。以後は関係が途絶えていたが、西日本本部では徐々に交流を開始しており、今回の王者対決実現に至った。歴史を知る関係者・ファンにとっては“禁断の対決”とも言える顔合わせだ。
そのような“裏事情”を抜きにしても、玖村と髙橋の対戦は地元を中心に多くの注目を集めた。玖村21歳、髙橋22歳、大阪の新鋭王者同士で、髙橋は12月のKNOCK OUT両国興行で小笠原瑛作との対戦が決まっており、玖村も9月の後楽園でタイ人にKO勝ちとし2連続KO中と、キャリア的にも波に乗る。さらに、ともに3兄弟の次男という共通点もあり、好勝負は必死と言えた。

試合はひときわ高い歓声の中で始まり、序盤から両選手がそれに応えるような熱戦が展開された。1R、先にパンチで勝負に出たのは玖村。バックブローやハイキックも織り交ぜて前に出るが、蹴りに自信を持つ髙橋は蹴りを中心に応戦。2Rには玖村の右ストレートがヒットする場面もあったが、中盤から組みの展開が増えると髙橋が優勢に。2R終了時のオープンスコアではジャッジ1名が20-19で髙橋を支持、残り2名は19-19のイーブン。
3Rも玖村がパンチで前進。髙橋は組んでのヒザで応戦し、左ハイをヒットすると一瞬玖村がぐらつく。さらに玖村が出たところでヒザから左ハイを再び当て、玖村がダウン。玖村も最後まで逆転を期して前進するが流れは変わらず、試合終了。3-0の判定で髙橋が試合を制した。試合終了後から悔しさを露わにしていた玖村は、判定がアナウンスされるとくずおれ、しばらく動けなかった。

 

 

リング上でマイクを持った髙橋は「今回、大阪のチャンピオン対決ということで、正直簡単に勝てるんやないかと思ってたんですけど、玖村君も立派なチャンピオンやったんで手強かったですね。来月に両国で試合が決まってるんですけど、大阪に強いチャンピオンがおるということで玖村君の分も背負ってしっかり闘ってくるんで、小笠原瑛作もキテると思うけどこの1ヵ月でもっと強くなって両国行くんで、覚悟しとけよ」と、両国の大舞台につなげる発言でさらに場内を沸かせた。

 

試合後、髙橋は「組みついた時に自分の方が有利やと思ったし、蹴りの距離は自信あるし絶対負けへんなと思った」と試合を振り返った。NKB王者として乗り込んだことについては「恥ずかしいところは見せられないという気持ちはありましたが、そこを気にしすぎるともっとガチガチになってしまうので、あんまりそこは気にせんようにしました。玖村修平という相手だけを意識して闘いました」と語った。
敗れた玖村は興行後になると「負けたけど、自分の練習したことは出し切れたので悔いはないです」とコメント。「蹴りは得意なんですけど、今回は蹴りでは勝てそうにないと思って、パンチで倒そうと思って練習してました。でもパンチの距離に行こうとすると前に出たいという気持ちが強すぎて、組まれたらやりづらかったですね。今年はベルトも獲れて、初めてタイ人も倒して髙橋選手とチャンピオン対決ということで、倒して僕がKNOCK OUTに名乗りを挙げようと思っていたんですが……でもいい経験ができました」とも。

 

「この王者対決までに4年かかった」とはNJKF西日本本部関係者の言葉。「俺らの試合で大阪を盛り上げよう」という試合前の玖村の言葉通り、場内はいつもとはまた違った対抗戦らしい空気が充満していた。さらに若い王者同士が期待通りの好勝負を繰り広げたことで、次につながった。西日本では今後も交流を続けていくとのことで、選手たちの試合機会の増加、それに伴うレベルアップが期待できそうだ。

 

 

今興行では元NJKFライト級王者・階勇弥が引退。恒例のスパイダーマン・ダンスで入場した階は同じ西日本の先輩・国崇と3分1Rのエキシビションを行った。11月24日にREBELS後楽園興行出場を控え「倒す気満々だった」という国崇のボディに表情を歪める場面もあったが、階もミドルやボディを繰り出した。試合後には「僕がデビューした時にはチャンピオンだった大先輩の国崇さんが相手をしてくれてうれしかったんですけど、2分経過のアナウンスを聞いて、『まだ1分あるんか~』と思ってしまいました(笑)。『もっと来い』ってアピールされた時には『休ませてほしいな』と、苦笑いでコメント。続く引退セレモニーでは多くの関係者や家族、指導する子供たち、さらに本人が「一番の思い出」と振り返るDEEP☆KICK 60kg最強決定トーナメントをともに闘った石橋真幸、楠本鉱平、Fire仭士らに労われ、リングに別れを告げた。

 

階は興行後の控室では、「こんな機会を設けてくれて、感謝の言葉しかありません。僕は人に恵まれました。ジムの会長や会員さんたちにも支えてもらい、勝ったり負けたりの選手生活でしたけど家族からも一度も『やめれば』とは言われることもなくて。前回の試合(王座陥落)で闘いながら勝ちへの執着が薄くなった自分に気付いて、負けた後すぐに会長に引退の意思を伝えました。今も『健心塾・階道場』という形で子供たちを教えているんですが、将来的にはプロになりたいという子が出てきたら選手育成も考えたいです」と語った。

 

 

セミではスーパーファイトとしてISKAライトウェルター級王者の宮島教晋が登場、タイのデュアンビチット・シットクンジャーと対戦。タイ人らしく緩急の利いた闘いを展開するデュアンビチットに対し、蹴りを中心に攻めた宮島だったが、1Rに投げられた場面で腕を負傷したことも響いて攻略の糸口が掴めず、2-0の判定負けとなった。

 

 

また、興行中には11月23日にK-1さいたま興行での中澤純戦を控える大和哲也が挨拶。「倒して勝って、来年のK-1王座挑戦につなげたい」と抱負を語った。